去年(2019年)12月の沖縄旅行で、火災後の首里城を見学してきました。
首里城は火災前の2019年2月に、長い間復元工事中だった御内原エリアが公開されたところでした。今は御内原に入れませんが、御内原を囲む石垣の外側(外郭内)の遊歩道は歩くことができます。
いろいろと気持ちは複雑でしたが、今までどおりの首里城と変わってしまった首里城、それから初めて見る首里城の3つの表情を見ることができました。
今までどおりの首里城
私たちは首里城公園の地下駐車場に車を置いて、まっすぐ「守礼門」に向かいました。
ここに着いた時点で相当覚悟していたんですけど、駐車場も守礼門付近も、人が少ないくらいで今までと何ら変わらないんですよ。
「歓会門」も、人が少ないというだけで今までどおりかっこいい。
そして「瑞泉門」。
歩いてるときには気づかなかったですが、改めて写真を見ると、やたら空が広いのかな…。
でも「龍樋」は今までどおりご健在。
火災の現場はやっぱり重い
瑞泉門をくぐってすぐに見えるのは「漏刻門」です。
漏刻門の向こうは広場になっていて、「広福門」、「奉神門」、そして正殿という道のり。つまり漏刻門の向こうは正殿に近いエリアです。
私たちが訪れたときは、漏刻門の向こう側にはまだ焼け残った建物がありました。
うーん。やっぱり心にずしんと重たいものを感じましたよ。
首里城が燃えてしまった悲しさもそうですけど、それ以前に火災現場なのでね。そっちの重さを感じたときに、あぁこれが現実かと思いました。
あんまり心地の良い光景ではないので写真はなしで。
初めて気づく景色
だけど漏刻門の広場から見える景色は相変わらず綺麗でした。「久慶門」とつながる城壁の曲線美はいつ見てもたまりませんなぁ。
今まではこの広場に来ると正殿にむかって気持ちが焦り始めていたんですけど、今回はしばらくここで景色を眺めて楽しむ余裕がありました。そのおかげで初めて気づく景色を見つけたり。
この日は天気が良かったのもあって、久慶門から北へ1.5kmほど先の山にある末吉宮が見えました。
首里城から末吉宮がこんなにはっきり見えているなんて今まで知らなかったわ。
正殿が無い!
さぁ、この後は広福門を入って奉神門前の広場へ。そしてそこから京の内に向けて正殿跡を見ながら歩きました。
写真は載せませんが、当然ながら正殿はありませんでした。
ただ、正殿に関して言うと、私たちが行ったときは焼け残った物がそこそこ片付けられていて、正殿が燃えてしまったという印象よりも、無い!正殿が無い!と感じました。
だから自分の中ではあの勇壮な正殿の姿がそっくりそのままどこか別の場所にあるような気がして、そこまで悲しみに襲われることなくやり過ごすことができました。
だけどそれと同時に、燃えてゆく正殿を近くで見ていた人たちの気持ちは計り知れないなと。そう思っていたせいか、広福門から奉神門前の広場にたくさんの人の悲しい感情が残っているように感じて、ちょっともらい泣きしそうでした。
近い将来、正殿が復元されてもう一度あの姿を見るときはガチ泣きしよう。と心に決めて漏刻門までUターン。
新しく公開された御内原周辺を散策
漏刻門から瑞泉門へと来た道を戻ったら、次は2019年2月に新しく公開されたエリアを散策です。
外郭と内郭の間を東に進むと、ちょうど御内原の下あたりに洞窟の入り口のような場所がありました。
案内板には「ガマ遺構」と書かれていて、”琉球王府の女官達が息抜きの場として使われた伝承があります。”という説明が。
えー!ちょっと待ってー。
ということは、あの仲間由紀恵主演のドラマ『テンペスト』でかたせ梨乃演じる女官・大勢頭部(思徳金)が、隠れて悪いことしていたあの洞窟は実際にあったかもしれないってこと?
「私はこの王宮のことなら隅々まで知っておる。よくここに隠れて休んだものさ。」
的なセリフだった気がするけど…。忘れた。
でもそうなのかー。てっきりあのシーンはドラマ上の創作だと思っていました。そうじゃなかったのかー。すごいなぁ。
『テンペスト』はなかなか深いドラマなんですよ。パッと見は琉装の現代人が標準語をしゃべっているし、キャラクター設定も、漫画やん!っていうツッコミどころは満載なんですが、たまに深い一言がさく裂するというかなんというか、脚本がうまい。(何様?発言すみません。プロ野球観てるおっさんやと思ってください。)
あの時代背景があったからこれを言わせたのか。と後で気づくことが多々あるドラマでした。具体的なシーンは忘れたんですけどね。
また見よう。
→BS時代劇 テンペスト(NHKオンデマンド)【Amazon】
東のアザナの外側を歩く
ガマ遺構からさらに東へ進むと、遊歩道は長い階段に変わりました。
この階段を越えると東のアザナの外側を回って継世門へ行くことができるんです。
すごいなぁ。首里城の敷地内を通って継世門まで行けるようになったんだなぁ。
そして途中で見上げたこの石垣の向こう側には「東のアザナ」があるわけで…。
考えないようにしていたけど、やっぱり見ておきたかったなぁ。御内原エリア。
ふと目を上げると、瑞泉酒造と崎山公園を望む風景が見えました。
御内原エリアがまだ復元工事をしている頃、よく崎山公園から首里城を眺めていたんですよ。それが今は首里城から崎山公園を眺めているんだと思ったら、嬉しいような…うーん、ちょっと複雑でもあるけど。
ちなみに復元工事の頃に崎山公園から見えていた首里城の写真がこちら。
画像に「美福門」と書き込んでいる場所には、今はこんなに立派な門が復元されていました。
美福門の右側手前の石積みは「アカタ御ヂヤウノ御嶽(赤田御門の御嶽)」なんだそうです。確かここは、ブラタモリでタモリさんが復元工事中に訪れていた御嶽のはず。
関連記事→ブラタモリ沖縄ロケ地マップ-首里編
なんか美福門が綺麗に復元されていたことがやたら嬉しくて、気づいたら同じ写真を何枚も撮っていました。
で、急に我に返って「継世門」から首里城外へ。
ここでも、継世門を通って出てこれるようになったんだなぁ。としみじみ。昔、首里散策をしていて、普通の住宅街にヌッと継世門が現れたときにはめちゃめちゃ感動しました。なんとかっこいい街なんだと。
お土産屋さんで〆のソフトクリーム
さて、この後は城外の道を通って首里杜館の広場まで。下のマップの一番南側のルートです。
そして広場に並ぶお土産屋さんでソフトクリームを買いました。
散策の後のソフトクリーム、めーちゃーうーまー!
いやはや。重たかったり悲しかったりもしたけれど、総合的には楽しい首里城見学でした。行ってよかったです。
これからは一歩ずつ正殿が建て直されていく様子を見るために、首里城には足を運ぼうと思います。もしかしたら昔より足繁く通うかもしれないわ。
→BS時代劇 テンペスト(NHKオンデマンド)【Amazon】
この旅行のダイジェスト&体験記事一覧はこちら→12月の沖縄旅行 今年も行ってきました
コメント