せっかく旧盆中に沖縄へ行くので、旧盆の行事が見たくて調べると、八重瀬町東風平で『しーしまーい』という行事があることを知りました。
『しーしまーい』と聞いて、漠然と沖縄の獅子舞が集落内を練り歩く行事なんだと思ったのですが、じつは『しーしまーい』は獅子舞ではありませんでした。
「今日は獅子舞しないよ。」
私たちは事前に調べていた時間に合わせて東風平公民館へ向かいました。
公民館周辺で祭りの準備をしているのを確認してちょうど車を降りたときに、遠くから銅鑼の音が聞こえてきました。
獅子舞始まった!と小走りで公民館へ向かったのですが、なぜか獅子の姿が見えません。
獅子足早い!と思いながらも、獅子舞のルートを聞くために公民館へ向かい、事務所にいた人に声をかけました。
「すみません。獅子は今どの辺ですか?」
「獅子?!獅子はさっき出て行ったよ。」
で…出て行った?
「どこにいるかわかりますか?」
「それはわからない。その辺に…」
そ…その辺?
「獅子舞は今日ですよね?」
「獅子舞?今日は獅子舞しないよ。」
へ?
「獅子舞はいつですか?明日とか?」
「え?!獅子舞?!えーっと…10月の15日ぐらいだったかな…」
10月???
「そうですか…。ありがとう。」
まったく話がかみ合わずチンプンカンプンです。
周りを見回しても獅子舞の気配はないし、本気で意味が解らないし、なんかもうえぇわ。という気分になったので帰ることにしました。
ところが車に乗り込んで大通りに出たところで、向こうの路地にぞろぞろ歩く人影を発見。「あれ絶対獅子や!」近づくと銅鑼の音が聞こえてきました。
慌てて車を降りて追いかけます。
『しーしまーい』は『獅子廻り』
人影を追いかけてたどり着いた場所は、集落の拝所でした。
ここに来て初めて意味が解ったんです。『しーしまーい』は獅子舞じゃなくて『獅子廻り』だったんだと。
『しーしまーい』は獅子が集落の拝所を廻る行事だったんですね。
『まーい』というのは、その昔琉球国王が東側の御嶽をお参りして回ったという行事『東御廻り(あがりうまーい)』と同じ意味合いじゃないかと思います。
どうりで話がかみ合わなかったわけです。
静かに行われる伝統行事
『しーしまーい』が行われるという情報はネットで公開されていたので、おそらく県外の私たちが見に行っても大丈夫な行事だと思います。
でも実際に見に来ているのは町内の人と思われる十数人と役場の人くらいでした。
あからさまにナイチャー丸出しの私たちは結構目立っていたと思います。写真を撮りながらも「やめといて」と言われたら即削除するぐらいのつもりでいました。だってわからないんだもん。伝統行事との距離感。
でも普段自分たちだけで歴史探訪をしていても入れない屋敷跡を覗けたし、琉球史好きの私にとっては超ラッキーな時間でした。
上の写真の場所はおそらく村立ての家系の屋敷跡で、歴代の先祖の御位牌が置かれている場所なんじゃないかと思います。
獅子が拝所を廻ることの詳しい意味は行事を見ているだけではわかりませんでした。各拝所で祈りをささげた後、獅子が3回まわって出ていくと話していたので、何かしらの伝承が残っているんじゃないかと思います。
東風平発祥の歴史や獅子の由来が解ると『しーしまーい』がよりおもしろく見えてくると思います。今度じっくり調べてみます。
伝統行事を見学すると、新たに知りたいことがたくさん見つかります。そして調べているとある日突然点と点がつながる瞬間があって楽しいです。それでどんどんその町が好きになっていくんですよ。
伝統行事は町の魅力ですね。
コメント
イベントと、祭禮・祭祀の違いですね
ツハコさん
コメントありがとうございます。
そうですね。しーしまーいはイベントじゃなくて祭禮・祭祀の方ですよね。
獅子は村では神様です
しーしまーいで獅子から(神様の魂を抜きます)
それから約2週間ほど獅子舞の練習ができます(神様なので魂が入ってたら練習できません)
豊年祭本番前にまたしーしまーいで(獅子舞に)魂を入れて
本番獅子舞となります。
尚使い手は毎年違う人がやるので
毎年違う獅子舞の形が観れます
そこが魅力的
しかしやる方はスーパー過酷です
だって2週間しか練習ないんだもん
触れて練習していいのは魂ぬいた後しか
できないし、ぬく日は旧暦で決まってるし
なんとかならんかなぁ?感じです
東風平んちゅ様
ありがとうございます!
そうだったんですか。神様の魂を抜く行事だったんですね。
へぇ~。感動。奥が深いですね。
毎年違う方がものすごいタイトな練習時間で獅子舞を仕上げていく。そういう貴重なお話を知ったら見え方も変わりますね。
今度はぜひ獅子舞を見に行きたくなりました。
きっとめっちゃ大変なんだと思うけど、末永く受け継いで残してほしいと、よそ者は好き勝手思いがちです(笑)