名護市許田の集落を散策してきました。
許田といえば道の駅が有名ですが、道の駅から那覇方面に少し行くと、許田の集落があります。ちょうど高速道路の出口付近にあるので、那覇方面から高速に乗って許田で降りるルートだと、通りすぎてしまう場所です。
今回許田地区へは、特別見たいものがあって目指した。というわけではなく、沖縄本島の中で、まだ知らない行ったことのない場所に行きたいと、地図帳を開いて目に留まった公民館を目指すという遊びがきっかけで訪れることになりました。
何の予備知識もなく訪れたのですが、思いがけず素敵な場所に出会えましたよ。
公民館と神アサギ
許田の公民館に車を置いて、ひとまずぶらり。公民館が開いていればマップ的なものをもらえるか聞いてみるんですけどね。この日は土曜日で誰もいませんでした。

許田の公民館
公民館から少し歩いたところにあった神アサギ。

神アサギ
神アサギとは、地区の祭祀を行う神聖な場所だと私は理解しています。本島北部では、ほぼ各地区にあるはず。公民館と神アサギがある地区は、古くからの歴史がある地区なんだと思っています。
後の御嶽(クシヌウタキ)
神アサギから集落内を北に向かって行くと、現れたのが後の御嶽(クシヌウタキ)。

後の御嶽(クシヌウタキ)
立派な鳥居が建っていますが、鳥居があるのはおそらく近年の歴史の名残りですね。鳥居があることで、その場所が守られた時代もあるんだと思います。
鳥居の後ろには急な階段が続きます。いつものごとく、ゼーハーいいながら登りましたよ。

かなりハードな階段
階段を登った先にある拝所。中には香炉が置かれています。

御嶽の拝所には香炉が
この御嶽は許田集落発祥の地だと思います。
後の御嶽に関しては、もう少し詳しく書きたいことがあるんですけどね。それはまた後日にでも。
後日に書きました→許田にある後の御嶽の謎
許田の手水(クシヌカー)
御嶽の階段を降りて少し歩いたところに、なにやら祠がありました。水が流れる音が聞こえます。

許田の手水(クシヌカー)
案内板によると、ここは許田の手水と呼ばれる泉だそうです。名護市の文化財なんですって。
許田の手水には、その昔、ここで出会った首里の役人と村の娘のエピソードが残っていて、後世その話が組踊『手水の縁』のモデルになったんだそうです。
組踊のことはまったく知らなくて、組踊と聞けばオキハムのCM「♪わんやオキハムのうみないどやゆる♪」のメロディーが頭の中で流れるレベルです。
→オキハムCM「お歳暮、ウミナイビ」【YouTube】※リンク先は動画が自動再生されるかも。音量に注意してください。
だけど、それぐらい古い歴史があるこの泉はまだ生きていて、次から次へと水がジャバジャバと流れていました。

ジャバジャバ水が流れている泉
今までも沖縄でいろんな泉を見てきたけど、こんなに生気のある泉は初めて見ました。いい場所だな〜と思いました。
それに、ここは文化財目線では「許田の手水」と呼ばれていますが、たぶん地域の人目線では「クシヌカー」といって、後の御嶽(クシヌウタキ)とクシヌカーでワンセットの聖域なんだと思います。っていうか文化財目線ってなんだ。
遠い昔に、祖先がこの地で生活しようと決めたのは、この泉があったからだと思うんです。豊富な湧き水にとても感謝して、ずっとこの場所を大切にしてきたんだろうなと、ダバダバ溢れる水を見ながら思いました。

御嶽になっている丘の裾にクシヌカーがある
許田集落の風景
許田の集落はとても静かなところで、歩いていて気持ちがよかったです。高速出口の真横にあるとは思えない、穏やかな空気が流れていました。
途中にゃんこにめっちゃ警戒されたり、

少しは愛想してくれてもいいのに…
所々に小さな拝所があって、ここは何だろうとか検証してみたり、

駐車場の端にひっそりとある拝所
水辺の風景に癒されたり、

カモ!
本当は他の集落も2つ3つ行くつもりにしていたんですけど、ついつい長居してしまって、気づいたら夕方でした。

あ、なんだか沖縄っぽ~い。と思った景色
何の予備知識もなく行った許田の集落でしたが、思いがけなく許田の手水(クシヌカー)に出会えたのはよかったです。あの見事な水量から感じる豊かさとかイキイキした感じとかって、あの場所に立ってみないとわからない感覚だなと思いました。
適当に地図帳を開いて公民館へGo!は楽しいですよ。ただ、集落はひとさまのお庭みたいなものなので、お邪魔しますの気持ちを忘れないように心がけたいですね。
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