昨日は、琉球朝日放送が配信しているニュース動画を観ていました。
その中の『まも散歩』というコーナーで、那覇市牧志にある西御嶽という場所が紹介されていたのですが、御嶽に建てられた祠の後ろに近代的なビルがそびえていて、那覇っぽいというか不思議な感覚だったんです。
でもふと、これと似たような景色を、どこかで見たことあるなと思い出したのが、那覇市泊にある泊大阿母(とまりおーあむ/トゥマイウフアム)の拝所でした。
泊大阿母(とまりおーあむ)とは
あまり細かく調べながら書くと、歴史本丸写しになってしまいそうなので、資料チラ見のうろ覚えでザックリ説明してみます。
泊大阿母(とまりおーあむ)とは、琉球王国時代のとある女性を指す言葉です。大阿母というのがたぶん役職の名前じゃないかと思うのですが、その時代では位の高い、神官に任命された人物です。
1466年に琉球国王だった尚徳王が、喜界島を征服して泊港に帰ってきたときに、一人の女性が、
「長旅で、船に積んでいる水は濁っているでしょうから、新しいお水をどうぞ。」
とお水を差し出したそうです。
その心づかいに王はたいそう喜んで、女性の旦那さんに泊地域一帯の土地の管理を任せ、その女性にはその土地の祭祀を司る神官の役割を与えたそうです。
そのお水を差し出した女性が泊大阿母。ちなみにフルネーム(?)は泊大阿母潮花司(とまりおーあむすばなちかさ)だそうです。
えー!お水持ってきただけで一族大出世や~ん!って思うんですが、当時はそういう時代だったのでしょうか。一説によると、その女性はもともと尚徳王の身内だったという話も読みましたけどね。真相やいかに!?
泊大阿母の拝所
その泊大阿母(とまりおーあむ)の拝所は、那覇市泊の住宅街の中にある普通の公園の一角にあります。一見本当に何の変哲もない公園なのですが、
この公園の奥に祠が
この沖縄っぽい祠の後ろに高層マンションがそびえている景色が、すごく不思議な感覚だったんです。
泊大阿母の拝所は、戦後この場所に移されたものだそうですが、それでもこの不思議なコントラストを見ていると、那覇だなぁ都会だなぁというのと、ちゃんと残してるんだなぁというか、そこだけ時代が違うような、切り取られているというか…。書いてる自分もよくわからない感慨深いものがあります。
泊大阿母(とまりおーあむ)の拝所のマップ
潮花司の祠を探して
尚徳王にお水を献上した話を歴史本で読んでいるときに、潮花司(スバナチカサ)の祠というのが、那覇市天久にあると読んだので、その場所を探しに行きました。
Googleマップで事前に調べていた場所へ行ってみたのですが、その辺り一帯にはたくさんの香炉があって、いったいどれが潮花司の祠なのかは、はっきりとわかりませんでした。
ただ、確信は持てませんが、おそらくこれかなと思ったのが、この祠です。
【2018年1月18日追記
コメントで教えていただきました。この場所は「先樋川(サチヒージャー)」という拝所だそうです。潮花司の祠はこの近くの別の場所にあるらしいので、また今度探しに行ってきますね。】
潮花司の祠については、私はついさっきまで勘違いしてたみたいで、尚徳王にお水を献上した場所なんだと思い込んでいました。おそらく正しくは泊大阿母の屋敷跡のようですね。
潮花司の祠があるとされる場所付近のマップ
地形にも歴史があった
勘違いしていたのには一応いい訳があって、尚徳王の時代はその祠のすぐそばが海岸だったという一文を読んだからなんです。
上の写真の左奥に見える絶壁。コンクリートで覆われていますが、おそらくその時代は海岸にそびえる断崖だったんじゃないかと思うんです。
それにこの近くには、波で浸食されたような岩肌もありました。
なので私はてっきり、この付近が大きな船を着けられる深さの海岸で、そこに尚徳王が帰ってきたんだと勘違いしてました…。まだまだ勉強が足りませんね。
でもこの辺は尚徳王の時代に海岸だったんだなと思って眺めると、それもまた感慨深い地形の歴史です。
潮花司の祠を探している途中、他の場所にも遠い昔の海辺を見つけたのですが、その話はまた今度。
潮花司の祠のピンポイントな場所や、尚徳王が水を飲んだ場所はわかりませんでしたが、まぁこういうのはご縁なので、いつかスパーンと点と点がつながる時まで温めておこうと思います。
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コメント
「潮花司の祠を探して」を読ませて頂きました。あの写真の場所の拝所は天久の「先樋川(サチヒージャー)」という拝所です。
「潮花司」の拝所は同じ通り沿いを少し入った場所にあり、と言っても道路から見えます。拝所には潮花司(スバナツカサ)とは書かれておらず、「すばなちかさ」と書かれています。
ありがとうございます!
写真の場所はサチヒージャーだったんですね。記事に追記しておきます。
潮花司の祠に「すばなちかさ」と書かれているなら私たちでも見つけられそうです。
そういえば、あの時、道路の方まで散策していませんでした。次回もう一度見に行ってみますね。
素敵なヒントをありがとうございます。