三線のちんだみ(調弦)をドレミに変換した表を作ってみました。
ちんだみについて、三線を弾いている人に何度か聞いたことがあったのですが、男弦・中弦・女弦を「ド・ファ・ド」に合わせるという意味が今までなかなか理解できませんでした。
ネットで調べてもわからないので近所の三線屋さんに聞きに行くと、ちんだみの仕組みと、「ド・ファ・ド」の概念は全く別物だったということを知り、かなりすっきりしました。
なので三線屋さんで勉強したことを思い出しながらここにメモしておきます。
三線の調弦は「ド・ファ・ド」に合わせるのではない
三線のちんだみ(調弦)について、三線を弾いている人に話を聞くと、(本調子は)ド・ファ・ドだ。と教えてくれます。
しかし実際にピアノで音をとりながら「ド・ファ・ド」の音に合わせると、こんな高いキーで弾いてるのぉ~?と驚かれてしまうのです。
これが私にはまったく理解できませんでした。だって私の中で「ド・ファ・ド」といえば、ピアノの鍵盤で、
の場所を押さえると出る音しか有り得なかったから。
ところがこの「ド・ファ・ド」の概念は、私にピアノの経験があったことが大きな落とし穴だったんです。
三線屋さんで教わったちんだみ(調弦)の基本
ちんだみ(調弦)をめぐる「ド・ファ・ド」問題は、ネットでいくら調べても理解できなかったので、近所の三線屋さんに聞きに行きました。
まず、三線屋さんで教わったお話を箇条書きにしてみます。
- 三線は歌ありきの楽器で、歌い手の声の高さ(キーの高さ)に合わせてちんだみ(調弦)をする。
- キーの高さは「1本」から「12本」という呼び方で、数字が大きくなるほど高い音階になる。
- 「本調子」「二上り」「三下り」というのは、全ての弦を開放して、太い弦→真ん中の弦→細い弦の順に弾いた時の、音の間隔が変わる。
というお話でした。
ちなみに三線の弦の名称は、
- 太い弦=男弦(ウーヂル)
- 真ん中の弦=中弦(ナカヂル)
- 細い弦=女弦(ミーヂル)
です。
と文章で書いても分かりづらいので、三線屋さんでいただいた資料を基にピアノのドレミと照らし合わせた三線ちんだみ表を作ってみました。ただし、間違っていたらごめんなさい。
三線ちんだみのドレミ表
三線ちんだみのドレミ表(スマホの場合は横にスクロールして見ることができます。)
調子 | 本調子 | 二上り | 三下り | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
高さ | 男絃 | 中絃 | 女絃 | 男絃 | 中絃 | 女絃 | 男絃 | 中絃 | 女絃 |
1本 | ラ A |
レ D |
ラ∗ A |
ラ A |
ミ E |
ラ∗ A |
ラ A |
レ D |
ソ G |
2本 | シ♭ A♯ |
ミ♭ D♯ |
シ♭∗ A♯ |
シ♭ A♯ |
ファ F |
シ♭∗ A♯ |
ラ♯ A♯ |
レ♯ D♯ |
ソ♯ G♯ |
3本 | シ B |
ミ E |
シ∗ B |
シ B |
ファ♯ F♯ |
シ∗ B |
シ B |
ミ E |
ラ A |
4本 | ド C |
ファ F |
ド∗ C |
ド C |
ソ G |
ド∗ C |
ド C |
ファ F |
シ♭ A♯ |
5本 | ド♯ C♯ |
ファ♯ F♯ |
ド♯∗ C♯ |
ド♯ C♯ |
ソ♯ G♯ |
ド♯∗ C♯ |
ド♯ C♯ |
ファ♯ F♯ |
シ B |
6本 | レ D |
ソ G |
レ∗ D |
レ D |
ラ A |
レ∗ D |
レ D |
ソ G |
ド C |
7本 | ミ♭ D♯ |
ラ♭ G♯ |
ミ♭∗ D♯ |
ミ♭ D♯ |
シ♭ A♯ |
ミ♭∗ D♯ |
レ♯ D♯ |
ソ♯ G♯ |
ド♯ C♯ |
8本 | ミ E |
ラ A |
ミ∗ E |
ミ E |
シ B |
ミ∗ E |
ミ E |
ラ A |
レ D |
9本 | ファ F |
シ♭ A♯ |
ファ∗ F |
ファ F |
ド C |
ファ∗ F |
ファ F |
シ♭ A♯ |
ミ♭ D♯ |
10本 | ファ♯ F♯ |
シ B |
ファ♯∗ F♯ |
ファ♯ F♯ |
ド♯ C♯ |
ファ♯∗ F♯ |
ファ♯ F♯ |
シ B |
ミ E |
11本 | ソ G |
ド C |
ソ∗ G |
ソ G |
レ D |
ソ∗ G |
ソ G |
ド C |
ファ F |
12本 | ラ♭ G♯ |
レ♭ C♯ |
ラ♭∗ G♯ |
ラ♭ G♯ |
ミ♭ D♯ |
ラ♭∗ G♯ |
ソ♯ G♯ |
ド♯ C♯ |
ファ♯ F♯ |
表中の ∗ 印は男弦から1オクターブ高い音の意味です。
ということはつまり、ピアノの「ド・ファ・ド」と同じ音を三線で出す場合は、キーの高さ「4本」の本調子でちんだみするということですね。
三線にドレミという音はない
三線のちんだみについてなかなか理解できなかったのは、私自身の音楽のスタートがピアノのお稽古だったからでした。要するに私が今まで知っていた音楽・ドレミは、西洋の音なんです。
そして、三線にはそもそもドレミという音はないわけです。
なのでおそらく、三線を弾いている人のいう「ド・ファ・ド」というのは、音の間隔を表現する言葉だったんだと思います。
表現として使っている言葉を、ピアノの譜面に置き換えて受け取っていたので、話がかみ合わず混乱していたんだと思います。
当たり前っちゃ当たり前なんですけど、三線と西洋音楽とでは音のとらえ方が全く別物なんだなぁ。と初めて意識した出来事でした。
コメント
すごくよくわかりました。ありがとうございます!
先日、三線の体験教室で、CFCにあわせていたら、先生が、女性はE♯が良いとちんだみしてくれたのですが、ずっと疑問でした。
きっと、9番にあわせてくれたのだと納得。
再度ごめんなさい。
表をみていて、E♯ではなく、A♯のことだったのかと気がつきました!
私は吹奏楽をやっていたので、エーシャープといわれたら、E♯と思い込み、Fなのかなあと勝手に思い込んでいました。
ありがとうございます!
ヨウダさん
お役に立てたなら嬉しいです。
吹奏楽には吹奏楽のコードがあるんですね。ジャンルによっていろいろですね~。音楽は奥が深い。
そして三線教室行ったんですね。いいですねぇ。楽しんでください。
なるほどです。
三線の音階とドレミはそもそも別物だったんですね。
長年気になっていた謎が解けました。
ネットが全てと言われる中直接足を運んで調べて頂きありがとうございます。
思えばネット上の情報も元は誰かが地で調べたり体験した事ですよね。
ありがとうございました^^
こちらこそ、ありがとうございます。コメントいただき励みになります。
自分なりに理解したつもりでこんな記事を書いたんですが、もし間違っていたらごめんなさい。
ネットは素人でも発信できるので楽しいです。でもプロの目から見たら怒られてしまうようなことを書いてるかもしれません。
そういう考え方の人もいるんだなぁ。程度におもしろがってやってください。
って、急に怖気づいてなんかすみません(^_^;)